激しい選挙戦が繰り広げられた沖縄県知事選は現職の仲井真氏が3万8千票余の大差をつけて勝利した。再選である。
 
 今回の選挙では、保革の一騎打ちとはいえ、普天間移設問題に関しては、当初「条件付き県内移設容認」の姿勢であった仲井真氏が名護市長選や市議選の結果、辺野古のある名護市が移設反対の立場に変わったことを受け、県知事選を戦ううえで「県内移設容認では戦えない」という那覇市長らの進言から「県外移設」に舵を切った。
 
 これで、相手候補の伊波氏の「県内移設反対」という主張を薄めることに成功した。これは勝因の一つといえる。
 
 さらに「基地反対」を叫ぶ県内政治家のこれまでの実績といえば、県財政の悪化に歯止めを掛けるどころか無駄な支出を制限することもなし。さらに雇用状況の悪化に具体的な策を講じることも無く、「国が悪い」の一点張り。旧ソ連や中共が良く使う手である、内なる批判をかわすために外敵をつくる、という手法そもままであった。
 
 それを県民は記憶していた。「革新政党の知事ではダメ」だという記憶が残っていたのだ。これも勝因の一つ。
 
 最大の勝因は何と言っても安全保障に対する考え方の違い。仲井真氏は現在の日米同盟及び日米安保を重要視しており、堅持する姿勢。かたや伊波氏は、「中国は琉球の頃から友好国。脅威ではない。米国のほうが脅威だ」と発言しており、「日米安保を見直し、日米平和友好条約へ移行するべき」であるとか、中国軍を敵視した先島への自衛隊配備に反対して「中国とは話し合いで解決すればいいから相手を挑発するような自衛隊配備には反対」だとする主張をしていた。
 
 これには尖閣での中国漁船の暴挙を流出映像で見た県民を納得させることはできない。「今そこにある危機」に対してあまりにも無責任な姿勢に県民の反発があったのだろう。県内外の革新政党が大同団結して臨んだ選挙で大勝した意味は大きい。
 
 さてそれでは、肝心の普天間移設問題だが、縁側は個人的には普天間基地をそのままの状態にするほうがいいと思っている。家族が普天間基地のフェンスの側にいる縁側がである。理由は
 
 「ちゃんと操縦してくれるでしょ?落とさないでしょ?」(T_T)/~~~
 
 今、闇雲に移設交渉しても、県民との約束のある仲井真氏には酷というものだ。それよりも普天間を当面現状のまま使用してもらうように米側と交渉したほうが手っ取り早い。グァムでのインフラ整備が遅れている今ならそのほうが現実的だ。但し、環境影響評価(アセスメント)はそのまま継続して生きた状態にしておくんだ。なぜなら、
 
 仲井真氏は日米同盟及び日米安保は重要だと言った。その仲井真氏が「何が何でも県外移設だ」と強硬な態度をとるのは、来年度末に切れる沖縄振興特別措置法に変わる次期振興措置法の継続を国に訴え(自民党政権時には次期継続を了承していた)、その道筋をつけるのが最優先課題。その後に彼の真意である日米同盟堅持の思いを「辺野古容認」というかたちで表すのだろう。これは関係筋からの情報を吟味しての縁側予想である。
 
 つまり、そう2年後まで米国が待ちの姿勢を保てるのならそこで移設容認へ舵を切るだろう。もしどうにも米国が譲歩せず、日米同盟の危機という事態になれば、知事職を辞するのとバーターで辺野古容認の公有水面埋め立ての許可を出す。これは間違いないはずだ。仲井真氏も官僚を経験した方。国家レベルの危機を座していられるはずはない。民主党の尻拭いをしてやるわけだ。
 
 しかし民主党政権へのあてつけではないが、政府からの打診には冷ややかな態度で臨むでしょう。普天間移設問題でのいい加減な対応に対して、「筋を通して味噌汁で顔を洗ってから出直しやがれ!」の姿勢だろう、最初は。政府がどのように仲井真氏を説得するのか、できるのか見物である。
 
 それでも最後には仲井真知事が説得に応じるのではなく、決断するというカタチで幕となる。「どっちが国政に責任を持つ者だ、との謗り受ける政府」の演出も合わせてね。
 

 
 
     
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